接触確認アプリCOCOAの運用・改修を支援しています(2021年3月より)
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本業はIT企業の社員ですが、2021年3月から厚生労働省新型コロナウイルス対策推進本部事務局参与として、2021年9月以降は、内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室(現:デジタル庁)を併任しつつ、接触確認アプリCOCOAの運用・改修の支援を行っています。
初出: note
本当は、COCOAの改善がキリの良いところまで進んだ段階で広く見える場でのご報告を、と思っていたのですが、キリがよくなる前に感染者の急増に伴い、Twitter上でもCOCOAからの通知を受けることに関するツイートがふえており、「これはコメントをせねば」とコメントをして、そういえは自分は何者だ、という説明をしていなかったことに気づいた次第です。
担当業務
2022年8月現在
暫定的にPM/PdM的な役割を担い、厚生労働省・運用事業者(株式会社エムティーアイをはじめとする各社)・Githubを中心としたコミュニティ・デジタル庁の4者が関わるプロジェクト全体のディレクションを行っています。
ディレクションを行っている、というと、通常は、様々な意思決定をする立場ですが、私は常勤国家公務員ではないので、
- 科学的な思考と知識、疫学的な知見に基づき
- 厚生労働省などの行政の公式な方針(主に事務連絡)とその背景にある考え方を踏まえ
- 自分が即断で答えをだす課題は、行政職であれば答えが明白にブレない課題に限る(答えが明白でないものは、適切な組織に判断を促して答えを明白にしてから答えを出す)
これらに努めることで、勝手な個人の意思決定にならないよう留意しつつも、プロジェクトの意思決定がよりスムーズに進むよう表にでない形で動いておりました。
ただ、2022年7月の感染者数の急増に伴い、COCOAに関する疑問が多く見られるようになり、一方、行政から提供出来る情報の量・鮮度に限界もあることから、関連するツイートに対してコメントをするなどの、個人的な情報発信も行っております。
2022年4月以前
不具合の発生をうけたCOCOAの品質管理体制強化を支援するために、厚生労働省の担当チーム側の立場にたって、COCOAの要件や受入検査仕様の定義を支援しつつ、運用事業者のチーム内に検証を専門とする事業者を加えて検証体制を立ち上げる支援も行っておりました。
体制構築後は、引き続き要件・仕様の定義を行いながら、テスト指示書を作成するなどの、行政の受入検査責任を果たすための支援を行いました。
細かな技術仕様まではあまり関わっておりませんが、唯一、Exposure Notification v2に合わせた「1m以内・15分以上の接触を判定する」接触通知パラメータの策定については、検証事業者に依頼して行った、実機十数機・数十時間以上のデータ測定結果を踏まえながら、詳細なパラメータ設定までを行いました。
支援することになった経緯
バックグラウンド
私は、もともとは分離融合型の学科/専攻で、技術経営を専攻する研究室に所属し、科学的な思考と最新の情報・学術的知見を活用して様々な社会課題を解決することを学び、経営コンサルタントとしての実践を通じて、「これまでにない新しい課題を解決する」手法を身につけてきました。
接触確認アプリCOCOAへの関わり(普及促進の観点から)
2021年12月までは、株式会社ディー・エヌ・エーに所属し、新型コロナウイルス対策本部員として、情報を収集しながら社員の健康を守る対策方針の策定や推進、新型コロナウイルスに関連する社会貢献活動を推進していました。
そして、社員を守る対策本部としての情報収集を通じて、接触確認アプリCOCOAが実現しようとしていたデジタル・コンタクト・トレーシングを知って期待をしていました。そして、様々なトラブルにより世間から叩かれ、孤立無援となった開発者に同情し、助けが現れないことに憤慨していました。
そして、たまたま業務上でも、COCOAの普及促進に取り組めることになり、導入率の測定や導入促進のキャンペーンを2020年9月に実施、その過程で動作状況の可視化の重要性にも気づいたことから、動作確認をするWebアプリの開発も行い、2021年1月には一般に公開することができました。
この背景は少し詳しくnoteにも書いております。
不具合の発生と、再発防止に関わる経緯
そして、「これで十分に応援できた」と満足していたのですが、その矢先に、COCOAのAndroid版における不具合が発覚し、「不具合があるものを普及するの?」という素朴な疑問を社内からも出されるようになりました。
もともと、COCOAの開発に真面目に関わるひとたちを応援したいと考えておりましたので、厚生労働省参与としてCOCOAの不具合に直面していて誰かの支援を求めていた三宅・対策本部長のお誘いにのる形で、厚生労働省の参与となり、より直接的に関わることとなりました。