野尻抱介/柴田勝家/小川一水「ILC/TOHOKU」書評
6年たった東北を思いながらSF読書
先月末に出た、東北(岩手・一関、ILC建設候補地)を舞台にしたアンソロジーを読みながら3/11を迎えました。 巨大科学への支出の是非はあれど、何か輝ける未来が見える話が生まれるとよいな、と思いながら。
野尻抱介「新しい塔からの眺め」
ニコニコ動画大好きのラノベ・ゲーム出身の作家さん。
いつも通りの軽くすいすい読めて、科学の未来を信じるストーリーはいつも通りですね。
主人公がエレン・ベーカーだとか、アメリカのT-レックス政権による科学支出削減だとか、時事ネタ多すぎなのはおいおい…(゚ω゚)って感じですが。まあ彼はいつものことだけどw
柴田勝家「鏡石(きょうせき)異譚」
柴田勝家が好きな若手作家さんなのでペンネームが柴田勝家。
タネはシンプルですが、ミステリーちっくな作り、なるほど、って感じでした。
人間の記憶って何だろう、と考えさせるストーリーでした。
小川一水「陸(くが)の奥より申し上げる」
twitter宇宙クラスタでお見かけする、アイコンがバイクなのにストーム・トゥルーパーに見える方。作品を読むのは初めてでした。
奥州の歴史をなぞりながら東北の人たちの複雑な感情をうまく語らせつつ、SF的テーマにうまく繋がるのは見事だな、と。
建築技術マニアにも面白いかも。